年齢とともに気になるお肌の悩みとして、シミは多くの方が抱える深刻なテーマです。また、ケガやニキビなどが原因でできてしまった傷跡も、見た目の印象に大きく関わってきます。
実は、この傷跡とシミは密接に関係しており、炎症性色素沈着として同じメカニズムで肌に残ってしまうことがあります。
本記事では、「年齢のせいだから」と諦めがちな傷跡やシミができる具体的な原因を解説し、さらに、自分でできる効果的な改善方法や予防法について詳しくご紹介します。
適切なケアを知り、自信の持てる素肌を取り戻しましょう。

監修者:院長・鈴木 栄樹
「美しくなりたい」を応援します。どんな時代も「美」を願う「心」の本質は変わりません。
当院は「患者様の安心と満足を目標にする。」という当たり前のことを第一に考え、本物の美容形成外科を開設いたしました。
「美」と「心」がつながった「ありがとう」と言っていただける病院でありたい。 「美のホームドクターになれたら…」が私たちの願いです。
【院長略歴】95年聖マリアンナ医科大学卒業/95-97年同大学麻酔科勤務/97-02年大手美容外科勤務 のちに、分院院長歴任/
03-06年医療法人博済会 鈴木病院 美容外科外来開設/06年池袋サンシャイン美容外科開設/日本美容外科学会正会員・認定医
/日本美容外科医師会正会員/日本抗加齢医学会正会員
更新日:2025年12月17日
Contents
傷跡がシミになるのは「炎症後色素沈着」が関係している

傷跡がシミのように残る原因として多いのが、炎症後色素沈着です。
これは、けがやニキビ、やけど、虫刺されなどで皮膚に炎症が起きたあと、メラニン色素が過剰に作られ、皮膚に残ってしまう状態を指します。
病気ではありませんが、見た目の変化として悩みの原因になることがあります。
皮膚は炎症を起こすと修復の過程で色素細胞が活性化し、必要以上のメラニンが生成されることがあります。通常は時間とともに排出されますが、炎症が強かったり長引いたりすると、うまく排出されずシミのように残ってしまいます。
特に、かさぶたを無理に剥がす・紫外線を多く浴びるといった行為は、色素沈着を悪化させる要因です。肌質による個人差もあり、改善までに数か月以上かかる場合もあるため、早めの適切なケアや医師への相談が重要とされています。
傷跡やシミができる原因

傷跡やシミの改善や治療を考える前に、これらが発生してしまう根本的な原因について詳しく見ていきましょう。
外傷
傷跡やシミができる分かりやすい原因として、外傷があげられます。
お肌をどこかにぶつけてしまったり、誤ってひっかいてしまったり、とんできたボールなどがぶつかったりすることで傷を負うと、傷跡やシミができる可能性があります。
前述しましたが、皮膚が傷つくことでできるシミのことを「炎症性色素沈着」と呼んでいます。
外傷を負うと炎症反応が見られることとなりますが、その炎症から皮膚を守ろうとして、メラニン色素を含む細胞であるメラノサイトが活発に働くのです。
メラノサイトというと、シミの原因としてよく知られていますが、実は、皮膚を守るという重要な役割もあるのです。
ニキビ
ニキビのことを医学的には「尋常性ざ瘡」と呼んでおり、皮脂が毛穴に溜まることによって炎症を起こすのが特徴です。
炎症を起こすことでメラノサイトが活発に働き、シミ(炎症性色素沈着)が出やすくなります。
また、ニキビを不潔な手でつぶしたりすると、皮膚の表面から雑菌が入り込み、醜い傷跡を残してしまうリスクもあります。
虫刺され
意外に思われるかもしれませんが、虫刺されもシミの原因となります。
蒸しに刺された場所を治そうとメラノサイトとが活発に働き、やはり炎症性色素沈着を起こすのです。
また、虫に刺された場所がかゆくなると、無意識のうちにかきむしってしまい、それが傷跡となるケースもあります。
日焼け
日焼けをした場合、炎症性色素沈着を起こすケースと、日光黒子を生じるケースの2パターンが考えられます。
あまりにも強い日差しは人体にとって有害で、皮膚が弱い方の場合、やけどになってしまうことがあります。
特に色白の方に多くみられますが、その場合、炎症性色素沈着を起こしやすくなります。
また、やけどが治りかけの時にかゆみを生じると、無意識にひっかいてしまい、傷跡になってしまうこともあります。
また、日光に含まれる紫外線を多量に浴びることでメラノサイトが活発に働き、日光黒子(にっこうこくし、日光性黒子や老人性色素斑と呼ばれることも)ができやすくなります。
顔にできるのが一般的ですが、それ以外にも手や背中の上部、腕など普段から露出している場所に起こりやすいのが特徴で、特に中高年以降に多くみられます。
湿疹
湿疹は皮膚科のトラブルの中でもっともポピュラーな疾患で、皮膚科を訪れる方のおよそ30%が湿疹だというデータもあります。
湿疹を起こすと皮膚にかゆみが生じ、かゆみや水膨れを生じることもあります。
そのような症状が出た場所をひっかいてしまうことで、傷跡を残してしまうことがあります。
また、湿疹を治すためにメラノサイトが活発に働くと、やはり炎症性色素沈着を起こしやすくなり、シミができることとなります。
傷跡によるシミを改善する3つの方法
傷跡やシミを改善する3つの方法は以下の通りです。
- ターンオーバーを促進する
- 生活習慣を見直す
- クリニックで治療を受ける
傷跡やシミを改善するためには、ターンオーバーを促進することが重要です。
では、ターンオーバーを促進するにはどうしたらよいのでしょう。
ターンオーバーを促進する
ターンオーバーとは古いものが新しいものへと生まれ変わることを新陳代謝と呼んでいますが、皮膚が新しく生まれ変わることを特に、ターンオーバーと呼んでいます。
私たちが単に皮膚といった場合、それは表皮のことを指すケースがほとんどです。
表皮はわずか0.2㎜ほどの厚さしかありませんが、「角層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4層構造になっています。
基底層では角層が作られ、徐々に上へと押し上げられていきます。
角層はわずか0.02㎜(サランラップと同じくらいの厚み)しかありませんが、十数層から成っています。
もっとも表面まで押し上げられた角層は、やがて垢となって剥がれ落ちていきます。
一般的にはこの垢のことを角質と呼んでいます。
こうして、角層が作られてから剥がれ落ちるまでの周期をターンオーバーと呼んでおり、だいたい「年齢×1.5日」の周期でターンオーバーが起こるとされています。
ターンオーバーと傷跡やシミの関係
先に紹介したような傷跡やシミの原因が重なると、ターンオーバーの周期が乱れ、本来であれば剥がれ落ちるべき角層が剥がれ落ちずに残ってしまいます。
そうなると、角層と一緒に剥がれ落ちるはずだったメラニン色素も皮膚に残ってしまうため、シミが残ってしまうこととなるのです。
また、ターンオーバーの周期が遅くなることで、傷跡の回復も遅れてしまいます。
ターンオーバーを正常化させる方法
ターンオーバーの周期を正常化させるためには、正しいスキンケアをおこなうことが重要です。
皮膚に対する機械的刺激は、ターンオーバーの周期を正常化させる妨げとなります。
そのため、皮膚への刺激が少ない洗顔料で顔を洗い、洗顔後はしっかりと保湿をし、乳液やクリームでうるおいを閉じ込めることが重要です。
また、お肌の再生を促進するため、食習慣に気を付けることも求められます。
生活習慣を見直す
「夜更かしはお肌の大敵」といわれますが、それは、睡眠中に細胞分裂が活発になり、私たちのお肌を修復してくれるからです。
そのため、なるべく早寝早起きを意識し、質の良い睡眠をとるよう心がけましょう。
クリニックで治療を受ける
自分ではなかなか傷跡やシミの改善ができない場合は、専門のクリニックで治療を受けると良いでしょう。
池袋サンシャイン美容外科では最先端のレーザー治療をおこない、みずみずしくてうるおいのある肌を取り戻すサポートをおこなっています。
傷跡をきれ
傷跡によるシミ(炎症後色素沈着)を予防する方法
傷跡やシミは、なるべくならできないのが一番です。
そのための予防法は以下の通りです。
- 傷口をしっかりと洗う
- 手で触らない
- 紫外線を防ぐ
- 肌の保湿を行う
- ストレスをため込まない
傷口をしっかりと洗う
もし何らかの事情により、傷を負ってしまったら、傷口をしっかりと洗うように心がけましょう。
傷口から雑菌が入ると炎症を起こすリスクが高まりますし、治るのにも時間がかかってしまいます。
手で触らない
傷跡やシミがあるとついつい気になって手で触ってしまいがちですが、手には無数の雑菌が付着していることを忘れないようにしましょう。
紫外線を防ぐ
一般的に、紫外線による日光黒子は、炎症性色素沈着よりも治りにくいとされています。
そのため、外出するときは日焼け止めや帽子、日傘などで紫外線を妨げるようにしましょう。
肌の保湿を行う
肌が乾燥するとバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなります。
その結果、炎症が起こりやすくなり、色素沈着につながる可能性があります。保湿を行うことで皮膚の水分保持力を高め、ターンオーバーが乱れにくい環境を整えることが期待できます。
保湿の際は、刺激の少ない保湿剤を選び、肌をこすらずやさしく塗布することが大切です。
ストレスをため込まない
ストレスが溜まると自律神経のバランスが乱れ、ターンオーバーにも悪影響を及ぼします。
まさにストレスは万病の元というわけです。
適度にストレスを発散し、ターンオーバーの周期を乱さないよう心がけましょう。
まとめ
傷跡は軽傷であれば放っておいても治ることがありますが、それにともなって、シミができるリスクもあることを忘れないようにしましょう。
若いうちはターンオーバーの周期さえ整っていれば、軽度の傷跡やシミであれば自然と治ることもありますが、なかなか治らないときは一度、美容を専門としている当院までご相談ください。




