リストカットの跡を治療したいと思いながらも、「保険は使えるのか」「費用がどれくらいかかるのか」と不安で踏み出せずにいる方は少なくありません。
結論から先にお伝えすると、リストカット跡の治療が保険適用になるかどうかは、治療の目的と傷の状態によって決まります。「自傷行為だから保険が使えない」というわけでは必ずしもありません。
この記事を読んでいるあなたは、過去の傷と向き合い、前に進もうとしている方だと思います。その気持ちは、決しておかしなことではなく、跡を目立たなくしたい・日常生活をもっと楽にしたい、そう思うことはごく自然なことです。
本記事では保険が適用されるケース・されにくいケース・治療法ごとの費用の目安・診察時に伝えるべきポイントまで、わかりやすく整理してお伝えします。
この記事の重要なポイント
- 美容目的は対象外だが、ケロイドやひきつれ等の医療的必要性があれば保険が使える
- レーザーや医療タトゥーは自由診療(自費)で、切除術などは条件付きで保険適用になる
- 保険適用を判断してもらうには、見た目だけでなく痛みや機能制限などの症状を具体的に伝える必要がある
本記事ではリストカット跡の保険適用治療について解説していますが、もし今つらい状態が続いている場合は、専門の相談窓口を頼ってみてください。
- よりそいホットライン:0120-279-338(24時間・無料)
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556

「美しくなりたい」を応援します。どんな時代も「美」を願う「心」の本質は変わりません。当院は「患者様の安心と満足を目標にする。」という当たり前のことを第一に考え、本物の美容形成外科を開設いたしました。
「美」と「心」がつながった「ありがとう」と言っていただける病院でありたい。「美のホームドクターになれたら…」が私たちの願いです。
95年聖マリアンナ医科大学卒業/95-97年同大学麻酔科勤務/97-02年大手美容外科勤務 のちに分院院長歴任/03-06年医療法人博済会 鈴木病院 美容外科外来開設/06年池袋サンシャイン美容外科開設/日本美容外科学会正会員・認定医/日本美容外科医師会正会員/日本抗加齢医学会正会員
Contents
リストカット跡は保険適用になる?

リストカット跡の治療に保険が使えるかどうかは、場合によります。
判断の軸になるのは、治療が「医療上の必要性があるか」という点です。
原則「美容目的」は保険適用外
公的医療保険は、病気やけがの治療を目的とした医療行為に適用されます。
そのため、白く残った跡をきれいにしたい・見た目を改善したいという美容目的のみの治療は、原則として保険適用外(自由診療)になります。
白い線状の傷跡(白色線条)は、皮膚の色素細胞が失われた状態ですが、それ自体が直ちに「治療が必要な疾患」とは見なされにくいのが現状です。
レーザーや医療タトゥーなどの施術はほぼすべて自費での対応になることが多いです。
機能障害や病的瘢痕があれば適用の可能性あり
傷跡の治療で保険が適用されるのは、ケロイドや肥厚性瘢痕(盛り上がりのある瘢痕)・ひきつれによる関節の動きの制限・感染や炎症などが続いている場合です。
また精神科や心療内科での診断があり、治療が心理的・医療的に必要と判断されるケースでも、保険適用の対象となることがあります。
ただし、精神疾患の診断や治療中であっても、すでに治癒した古い傷跡の見た目を改善する治療(レーザーや自費切除など)に公的医療保険が適用されることは、医療上の必要性が認められる瘢痕治療を除き、原則保険適用での治療はできません。
参考:港区ホームページ/国民健康保険が適用されないものについて知りたい。
リストカットの治療で保険適用が検討されるケース

ここからはリストカットの保険治療が適用される可能性がある傷跡のケースをより具体的に解説していきます。
ケロイド・肥厚性瘢痕など医学的治療が必要な場合
傷跡が赤く盛り上がったまま改善しない状態(ケロイド・肥厚性瘢痕)は、痒みや痛みを伴うことがあり、医学的な治療対象として認められやすいです。
ステロイド注射・圧迫療法・外科的切除などが保険診療の対象になりえます。
ひきつれ(瘢痕拘縮)で可動域に支障がある場合
傷跡が引きつれて皮膚が突っ張り、手首や指の曲げ伸ばしに支障が出る状態を「瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)」と言います。
日常生活や仕事に具体的な影響がある場合、形成外科での治療が保険診療として認められる可能性があります。
感染や炎症が続いている場合
傷跡が完全に治癒しておらず、感染・化膿・炎症が繰り返している場合は、治療の緊急性・医療的必要性が認められやすいです。
皮膚科・形成外科での処置が保険診療として対応されます。
精神疾患の診断があり医療上の必要性が認められる場合
うつ病やPTSD、境界性パーソナリティ障害などの診断がある場合、自傷行為によるケガの治療も、心のケアの一環として必要になることがあります。
このような場合、精神科の主治医と、ケガの治療を行う医師がしっかりと連携することで、例外的に保険が適用されるケースがあります。
ただし、実際に保険が使えるかどうかは、患者さんの状態をふまえた医師の総合的な判断によって決まります。
リストカットの治療で保険適用になりにくいケース

リストカットの治療で保険適用になりにくいケースは以下の通りです。
- 白い線をきれいにしたいという美容目的のみの場合
- レーザーによる見た目改善のみの場合
- 医療タトゥーによるカバー治療
それでは詳しく解説します。
白い線をきれいにしたいという美容目的のみの場合
成熟した白い線状の瘢痕(白色線条)を「見た目をきれいにしたい」という理由のみで治療する場合は、保険の対象外です。
痛みや機能障害などの医学的問題がない場合、審美的改善のための治療は自費となります。
レーザーによる見た目改善のみの場合
フラクショナルレーザーや各種医療レーザーを用いた治療は、色素改善・質感改善を目的とする場合、ほぼすべて自由診療です。
医学的に治療が必要な疾患への照射が確認できない限り、保険請求は認められません。
医療タトゥーによるカバー治療
医療タトゥーやアートメイクによって傷跡の色をなじませる治療は、現時点では保険適用外です。
美容・外観上の改善を目的とした施術として位置づけられるため、全額自費での対応となります。
リストカットの治療法と保険適用の可否
リストカットの治療法と保険適用の可否は以下の通りです。
| 治療方法 | 保険可否 | 自費・保険の場合の費用(区分の詳細) |
|---|---|---|
| 切除術 | 条件付きで保険適用可 | ・保険適用:機能的な問題(ひきつれ・拘縮)がある場合や、病的瘢痕(ケロイドなど)の治療 ・自費(自由診療):美容目的のみの場合 |
| 削皮術 | 条件付きで保険適用可 | ・保険適用:医学的な必要性が認められる瘢痕への施術 ・自費(自由診療):見た目の改善が主目的の場合 |
| フラクショナルレーザー | 原則保険適用外 | ・自費(自由診療):現状は大半が自由診療(保険適用の事例はほとんどなし) |
| 医療タトゥー・アートメイク | 保険適用外 | ・自費(自由診療):一律で自由診療(効果や費用、リタッチの必要性は事前カウンセリングで要確認) |
リストカット跡の治療法について詳しく知りたい方は以下の記事で解説しています。
参考:【現役医師監修】リスカ跡の白い線を消すことはできる?原因・治療法・費用まで徹底解説
リストカットの治療にかかる費用|保険診療と自由診療の違い

リストカットの治療にかかる費用を、保険診療・自由診療の2つの観点から紹介します。
| 治療区分 | 治療内容(項目) | 費用目安(自己負担) | 費用のポイント・注意点 |
|---|---|---|---|
| 保険診療 | 皮膚科・形成外科の初診料 | 1,000円 〜 3,000円程度 | 受診時に必ず発生する基本費用です。 |
| ケロイドへのステロイド注射(1回) | 1,000円 〜 3,000円程度 | 赤みや盛り上がりを平らにする治療です。 | |
| 外科的切除・縫合(小範囲) | 5,000円 〜 15,000円程度 | ひきつれやケロイドなど、病的瘢痕が対象です。 | |
| 自由診療 | フラクショナルレーザー(1回) | 1万円 〜 3万円程度 | 複数回の施術が必要になる場合があり、総額が高額になるケースもあります。施術後に赤みやダウンタイムが生じることがあります。 |
| 医療タトゥー・アートメイク(初回) | 3万円 〜 10万円程度 | 傷跡の色調を目立ちにくく見せることを目的とした施術です。色素の定着や仕上がりには個人差があります。 | |
| 美容外科での傷跡修正(切除・縫合) | 5万円 〜 20万円程度 | 見た目の改善を目的として行われるため、全額自己負担となります。 |
※税込価格
※実際の費用は傷の状態・治療内容・医療機関によって異なります。
※価格はクリニック・施術範囲・状態によって大きく変わります。カウンセリングで見積もりを確認してください。
リストカット治療の診察時に伝えるべきポイント

医師に正確に伝えることで、保険適用の可否が変わる場合があります。
ここでは、リストカットの治療を受ける際に、専門医やカウンセラーに伝えておくべきポイントを紹介します。
見た目だけでなく困っていることを具体的に伝える
「きれいにしたい」という言葉だけでは美容目的と判断されやすくなります。
日常生活で実際に困っているような「腕を動かすと突っ張る感覚がある」「患部に痛みやかゆみが続いている」など、身体的な症状を具体的に伝えることが重要です。
社会的・心理的な事情(長袖が着られない等)のみでは保険適用の判断根拠にならないため、自覚している身体症状をありのままに説明するようにしましょう。
機能面の症状を正確に説明する
ひきつれによる関節の動きの制限・痒みや痛みの程度・炎症の継続など、身体的な症状がある場合は正確に伝えてください。
これらは保険適用の判断に直接影響する情報です。
「気になるだけ」と自分で判断せず、感じていることをありのままに伝えることが大切です。
美容目的か医療目的かの線引きを確認する
診察の場で「この治療は保険で受けられますか」と直接確認することは問題ありません。
医師はその質問に対して正直に答える義務があります。
保険が適用されるかどうか・自費になる場合の費用感・複数の選択肢があるかどうかを遠慮なく聞いてみてください。
リストカット治療に役立つ保険以外に使える制度
リストカット治療は自由診療だとそれなりの費用がかかりますが、保険以外にも活用できる制度があります。
- 傷病手当金
- 自立支援医療(精神通院)
- 医療費控除
これらの制度について詳しく解説します。
傷病手当金
自傷行為に関連した症状や精神疾患により、会社を休業せざるを得ない状態にある場合、健康保険の傷病手当金を申請できる可能性があります。
連続4日以上(最初の3日は待期期間)働けない場合、標準報酬日額の約3分の2が支給されます。
勤務先の総務部または健康保険組合に相談してください。
自立支援医療(精神通院)
精神科・心療内科に通院して治療を受けている場合、「自立支援医療(精神通院医療)」の申請により、医療費の自己負担が通常の3割から1割に軽減されます。
通院先の医師・病院の相談員・市区町村の窓口で申請できます。
医療費控除
1年間に支払った医療費(自費含む)の合計が10万円を超えた場合、確定申告で医療費控除を申請することで、課税所得が下がり税金の一部が返ってきます。
保険適用外の自由診療費・交通費も一定の条件で対象になるため、領収書を保管しておきましょう。
リストカット治療の保険適用に関するよくある質問
ここからはリストカット治療の保険適用に関するよくある質問を解説します。
自傷行為だと必ず保険適用外になりますか?
自傷行為だからといって、必ずしも保険適用外になるというわけではありません。
傷の状態や機能的な問題があれば保険が適用されることがあります。
原因ではなく状態と目的で判断されます。
精神科に通っていないと保険は使えませんか?
リストカットの保険治療は、精神科の通院が保険適用の前提条件にはなるわけではありません。
身体的な症状があれば皮膚科・形成外科で保険診療を受けられる可能性があります。
レーザーは絶対に自費ですか?
リストカット跡の審美的なレーザー治療に保険が適用されることは原則ありません。
すべて自由診療(全額自己負担)となります。
会社に治療内容は知られますか?
通常の医療機関は患者の診療内容を会社に通知しません。
健康保険証を使用した場合でも、傷病名が会社に通知されることは原則ありません。
リストカットを隠す方法はありますか?
アームカバー・ブレスレット・コンシーラーなどで日常的に隠せます。
医療タトゥーや美容施術で目立たなくする方法もあります。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
参考:【医師が解説】リスカ跡の隠し方!すぐできる隠し方やバれた時の言い訳、目立たなくする美容医療を紹介
参考:【完全版】傷隠しコンシーラーの選び方|リスカ跡・手術痕を自然に隠す方法とおすすめタイプ
まとめ
リストカット跡の治療と保険の関係について、大切なポイントを整理します。
保険の適用可否は「状態と目的」で決まります。自傷行為の跡であることだけを理由に一律で保険が使えなくなるわけではなく、ケロイド・拘縮・炎症など医学的な問題がある場合は保険診療の対象になりえます。
白い線の見た目改善は原則として自費です。レーザー・医療タトゥーなど美容的な改善を目的とした施術は、現状では自由診療が基本です。費用を事前に確認したうえで検討することをおすすめします。
医療的必要性があれば保険が使える可能性があります。「どうせ無理」と最初から諦めず、形成外科・皮膚科を受診して医師に状態を診てもらうことが、正確な判断への第一歩です。
そして何より大切なのは、「治したい」「前に進みたい」という気持ちは、何も間違っていないということです。治療の選択肢を探すこと自体が、自分を大切にしようとしている行動です。
もし今もつらい気持ちがあるなら、よりそいホットラインや心の健康相談ダイヤルにいつでも電話してください。話すだけでも、少し楽になることがあります。
- よりそいホットライン:0120-279-338(24時間・無料)
- こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556

「美しくなりたい」を応援します。どんな時代も「美」を願う「心」の本質は変わりません。当院は「患者様の安心と満足を目標にする。」という当たり前のことを第一に考え、本物の美容形成外科を開設いたしました。
「美」と「心」がつながった「ありがとう」と言っていただける病院でありたい。「美のホームドクターになれたら…」が私たちの願いです。
95年聖マリアンナ医科大学卒業/95-97年同大学麻酔科勤務/97-02年大手美容外科勤務 のちに分院院長歴任/03-06年医療法人博済会 鈴木病院 美容外科外来開設/06年池袋サンシャイン美容外科開設/日本美容外科学会正会員・認定医/日本美容外科医師会正会員/日本抗加齢医学会正会員

