【医師監修】ケロイドの治療法6選!治療期間・費用・日常ケアを紹介

交通事故 傷跡

ケロイドの痛みや痒みに悩まれている人のイメージ

ケロイドはその見た目に悩まされている人も少なくありません。

せっかくおしゃれをしても「腕や顔、首にできたケロイドが気になって自信を持てない」といった方の悩みもよく聞きます。

また、ケロイドはピリピリとした痛みやちくっと刺された痛みを感じることもあり、日常生活に支障をきたしている方もおられるでしょう。

「ケロイドって治るの?」「どんな治療法があるの?」と気になっている方も多いはず。

そこでこの記事では、そんな疑問に答えるためにケロイドの治療法や費用、注意点などをすべて解説しています。

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監修者:院長・鈴木 栄樹

「美しくなりたい」を応援します。どんな時代も「美」を願う「心」の本質は変わりません。

当院は「患者様の安心と満足を目標にする。」という当たり前のことを第一に考え、本物の美容形成外科を開設いたしました。

「美」と「心」がつながった「ありがとう」と言っていただける病院でありたい。 「美のホームドクターになれたら…」が私たちの願いです。

【院長略歴】95年聖マリアンナ医科大学卒業/95-97年同大学麻酔科勤務/97-02年大手美容外科勤務 のちに、分院院長歴任/
03-06年医療法人博済会 鈴木病院 美容外科外来開設/06年池袋サンシャイン美容外科開設/日本美容外科学会正会員・認定医
/日本美容外科医師会正会員/日本抗加齢医学会正会員

ケロイドとは?原因と症状を正しく理解しよう

 

ケロイドとは、傷が治癒していく過程で、コラーゲンなどの線維成分が過剰に増殖してできる盛り上がった瘢痕のことです。

ニキビ跡や手術跡などの通常の傷あとと異なり、元の傷を超えて赤く硬く盛り上がり広がるのが特徴です。

ケロイド自体は腫瘍ではないため、命に関わることはありません。

しかしながら、痛みやかゆみを伴うことが多く、見た目的にも目立つので、悩んでいる方も少なくありません。

ケロイドは自然に治ることがほとんどなく、放置すると症状が続いたり悪化するケースもあります。

そのため、ケロイドの仕組みを正しく理解し、早期に治療を受ける必要があります。

ケロイドができる原因

ケロイドの発症には、体質的要因と局所的刺激の両方が関係しています。

まず、「ケロイド体質」と呼ばれる遺伝的素因があり、家族にケロイド体質の方がいる場合は発症リスクが高まります。

特に黒色人種に多く、白色人種に少ない傾向がありますが、日本人は中間とされています。

また、女性ホルモンの影響で思春期や妊娠中に悪化しやすく、高血圧との関連を示す研究もあり、これらの全身的要因が重なることで、ケロイドができやすくなると考えられています。

一方で、日常の物理的な刺激も悪化する要因の一つです。

皮膚の伸展や摩擦、圧迫や紫外線、感染などが炎症を長引かせ、ケロイドを形成します。

虫刺されやニキビ、治りにくい傷から発症するケースも少なくありません。

日常生活では、患部を擦らない・締め付けない衣類を選ぶ、過度な飲酒や長風呂、激しい運動で皮膚を温めすぎないなど、炎症を起こさないように気をつけることが大切です。

ケロイドと肥厚性瘢痕の違い

ケロイドと肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)はいずれも傷あとが赤く盛り上がった状態ですが、以下の点で異なります。

分類傷跡の範囲症状自然経過
ケロイド元の傷を超えて広がる強い痛み・かゆみを伴うことが多い自然には治らず拡大傾向
肥厚性瘢痕元の傷の範囲内に留まる赤く盛り上がるが痛み・かゆみは軽度数ヶ月~数年で平坦化し目立たなくなることが多い

両者は見た目が似ており、病理組織学的にも明確な違いがないため判別が難しい場合があります。

患部が元の傷を超えているかでケロイドか肥厚性瘢痕かを判断できます。

またケロイドは症状が進行性であるのに対し、肥厚性瘢痕は炎症が徐々に収まり時間経過とともに目立たない傷あとへと落ち着くケースが多いです。

ケロイドでは痛み・かゆみを伴う割合も高く、放置すると自然治癒しない点が大きな違いです。

この違いが治療を受けるか、様子をうかがうかの判断ポイントになります。

放置するとどうなる?ケロイドの自然治癒が難しい理由

ケロイドの治療法について悩んでいる女性

前述した通り、ケロイドは放置しても自然に治ることはほとんどなく、時間とともに盛り上がりや硬化が進行します。

ケロイドは、傷の治癒機能が活性化したまま炎症と線維増殖が止まりません。通常は、修復とともにコラーゲン生成が止まりますが、ケロイド体質ではこの制御が効かず、何年も増殖が続いてしまいます。

瘢痕が皮膚を引っ張ると「瘢痕拘縮(はんこんこうしゅく)」を起こし、関節部では腕や脚の動きが制限されることもあります。

さらに痛み・かゆみが慢性化し、炎症によって赤みや色素沈着(黒ずみ)が残るケースも少なくありません。

症状が進行してからでは瘢痕が硬くなり、治療期間が長引いたり手術が必要になることもあります。

ケロイドは悪性化することはありませんが、痛みや見た目の悩みが長期化するため放置は禁物です。

「そのうち治る」と思わず、症状が軽いうちに専門医へ相談することが回復への近道です。

ケロイドの主な治療法|症状別に解説ケロイドの治療法を模索している画像

ケロイドの主な治療法は以下の通りです。

  • ステロイド注射
  • 圧迫療法
  • 外用薬
  • レーザー治療
  • 手術療法
  • 放射線治療

ケロイドの治療法には手術を行う方法と手術をせず保存的に治療する方法があります。

重要なのは、「必ずしも手術が最善とは限らない」という点です。

まずはステロイド注射や外用薬・圧迫などの保存的治療から開始し、様子を見ながら必要に応じて手術療法にうつります。

もちろん、症状がひどい場合はすぐに手術が必要な場合もありますが、基本的には手術をしない方法から治療していきます。

ステロイド注射

ケロイド治療の第一選択はステロイド局所注射です。代表的な薬剤は「ケナコルト」で、ケロイド内部に直接注入し、炎症とコラーゲン増殖を抑制します。

赤みや盛り上がり、痛み・かゆみを軽減し、患部を柔らかく平らにする効果が期待できます。

ステロイド注射はかなり強い痛みを伴うため、近年は局所麻酔を行いながら、注射を行ます。

効果がある反面、副作用として皮膚の陥凹・萎縮や月経不順が見られるだけでなく、再発もしやすいのが難点です。

②圧迫療法(テープ・シリコンジェルシート)

圧迫療法は、瘢痕部の血流と張力を抑えてコラーゲン増殖を防ぐ治療法です。小さな瘢痕にも使いやすく、洗って再利用できるのが利点です。

最初は1日数時間から始め、最終的に1日12〜24時間を数ヶ月以上継続することで効果が高まります。

注意点として、長時間貼付でかぶれや皮膚のふやけが生じることがあり、適度に皮膚を休ませながら使用する必要がある点です。

シリコンジェルシートなどは家庭で続けやすく副作用が少ないため、軽度ケロイドや手術後の予防ケアに適しています。

③外用薬(ステロイド軟膏・ヘパリン類似物質など)

外用薬を用いた治療は、炎症を抑えて瘢痕を柔らかくするのに適しています。

ケロイドの初期治療や他の治療と併用されることが多く、炎症を抑えたり、傷跡が広がるのを抑制するのに使われます。

ケロイド治療に使われる外用薬は主に以下の通りです。

・ステロイド外用剤:赤みやかゆみを抑え、コラーゲン産生を抑制
・ヘパリン類似物質:保湿と血行促進により皮膚の柔軟性を高め、乾燥やつっぱり、かゆみを軽減

そのほか、軽い炎症には非ステロイド系抗炎症薬を併用する場合もありますが、効果は穏やかです。

外用薬は自宅で痛みなく継続できる利点がありますが、効果を感じるまでに、数ヶ月以上の継続が必要です。

小さい瘢痕には有効ですが、大きい瘢痕や改善が乏しい場合は注射や手術など他の治療と併用します。

④レーザー治療(色素レーザー・炭酸ガスレーザー)

レーザー治療は、赤みや盛り上がりを目立たなくする治療法です。

レーザーでは、微細な穴を開けて皮膚の再構築を促します。成熟した硬い瘢痕にも効果があり、徐々に平坦化を図ります。

治療は1〜2ヶ月おきに5回以上行うのが一般的です。副作用として、一時的な赤み・色素沈着・水疱が起こることがあります。

また、ケロイド体質では刺激で悪化するリスクもあるため、低出力から慎重に照射します。

赤み・盛り上がりを軽減し見た目を改善する効果は高く、他の治療と併用することで相乗効果が期待できます。

ただし、根本的な再発防止にはならないため、注射や外用療法と並行する補助治療として位置づけられます。

⑤手術療法(切除+再発予防併用)

保存療法で改善が乏しい場合や、大きなケロイドには瘢痕切除手術が検討されます。

手術ではケロイドを紡錘形に切除し、周囲の皮膚を丁寧に縫合します。耳たぶのようにコブ状のケロイドでは、皮弁形成やZ形成など形成外科的な再建術を併用することもあります。

ただし、手術だけ再発してしまう可能性もあるので、手術と前述したステロイド注射や外用薬など、再発予防療法併用が必須です。

⑥放射線治療(電子線照射など)

放射線治療は、手術後の再発防止策として行われる最終段階の治療です。

切除後の患部に電子線を照射し、線維芽細胞(コラーゲンを過剰に作る細胞)の増殖を抑制します。

がん治療よりはるかに低線量で、照射範囲も皮膚表層に限られるため、安全性は高いとされています。

照射自体は短時間で痛みはありませんが、1〜2週間程度赤み・色素沈着・一時的な脱毛が起こることがあります。

ケロイド治療にかかる期間

ケロイド治療は短期間で完了するものではなく、長期的な治療が基本です。

軽症なら数ヶ月の保存療法で落ち着くこともありますが、重症例では半年〜1年以上の治療を要することもあります。

治療期間の例は以下の通りです。

  • ステロイド注射:3〜4週おきに通院し、平坦化まで半年〜1年が目安
  • 圧迫・外用療法:毎日のケアを数ヶ月〜1年継続
  • レーザー治療:1〜2ヶ月おきに複数回照射し、半年以上かけて徐々に改善

また、手術後も再発予防の治療が続く点に注意が必要です。

放射線照射がある場合は1週間ほどで照射自体は終わりますが、その後もステロイド注射や圧迫ケアを数ヶ月継続します。

ケロイドは「再発との戦い」でもあり、治療終了後も定期的な経過観察が欠かせません。

重要なのは、短期間で結果を求めず、医師と二人三脚で取り組むことです。
「早めに治療を始めれば、その分改善も早い」ため、気になる症状があれば放置せず、早期に専門医へ相談しましょう。

ケロイド治療の鍵は早期治療です。

長引く炎症や再発を防ぐ最良の対策です。

ケロイド治療の費用相場|保険適用と自費治療の違い

ケロイド治療にかかる費用紹介

ケロイド治療は、保険適用のものと自費診療で費用が大きく異なります。

痛みやかゆみなど医療的治療目的の場合は保険適用となることが多く、比較的安価に受けられます。

治療法費用目安(自己負担3割時)保険適用
ステロイド注射(ケナコルト等)1回 約500〜1,000円前後
手術(瘢痕切除術)小〜中サイズで約6,000〜15,000円
放射線治療1回 約5,000〜10,000円(3回で2〜3万円)
外用薬(ヒルドイド・ステロイド軟膏)1本 数百円
シリコンシート・圧迫具1枚 数千円(自費)×
レーザー治療(Vビーム・CO₂等)1回 1〜5万円前後×

上記はあくまでも「手術」や「薬剤」の費用のみになります。

初診料や麻酔代、処方薬代などを含めるとさらに数千円から数万円かかることもあります。

ケロイド治療の詳しい費用については、以下の記事を参考にしてください。

ケロイド治療の詳しい費用はこちら

ケロイド治療で痛みや再発を防ぐためのポイント

ケロイドは治療後のケアで結果が大きく変わります。

痛み・再発を最小限にするための生活習慣を紹介します。

治療中に避けるべきポイント

ケロイド治療中は、患部を「刺激しない・温めない・日焼けさせない」ことが基本です。

衣服や下着が擦れると炎症が悪化しやすいため、柔らかく通気性の良い素材を選びましょう。患部を掻いたり強くこすったりするのも厳禁です。

また、紫外線を浴びると赤みや色素沈着が進み、瘢痕がより目立ちやすくなります。外出時は季節を問わず日焼け止めを塗り、スカーフや絆創膏などで保護しましょう。

さらに、入浴や飲酒、激しい運動も血行を促進して赤みや痛みを強める原因になります。長湯や熱い風呂は避け、飲酒も控えめに。過度な運動や筋トレも一時的に控えるのが望ましいです。

ストレスや睡眠不足も炎症を悪化させる一因となります。治療中は十分な睡眠と栄養を意識し、体調を整えることが治癒を早める近道です。

日常ケアで再発を防ぐ

治療が落ち着いた後も、適切なセルフケアを続けることで再発リスクを下げられます。

まず大切なのは保湿と紫外線対策です。傷が治っても皮膚はデリケートな状態のため、毎日指定の保湿剤を塗り、乾燥によるひきつれやかゆみを防ぎましょう。

紫外線を浴びると瘢痕が黒ずみやすくなるため、日焼け止めを欠かさず使用し、帽子や日傘も活用します。

また、手術後などは医師の指示に従い、シリコンシートや伸縮テープを数ヶ月間貼り続けると再発防止に効果的です。

傷が目立たなくなっても、内部の瘢痕組織は時間をかけて安定していくため、焦らずケアを続けることが重要です。

ピアスや美容施術など新たな刺激を避けることも再発予防に繋がります。虫刺されやニキビも放置せず早めに治療し、炎症を悪化させないよう注意しましょう。

そして、症状が落ち着いたからといって自己判断で通院をやめないことも大切です。もし赤みやかゆみなどの再発サインが出たら、早めに医師へ相談すれば重症化を防げます。

ケロイド治療に関するよくある質問

ここからはケロイドの治療方法に関するよくある質問を紹介します。

ケロイドの治療は何科に行けばいい?

美容外科や形成外科、皮膚科の受診が基本です。

小さなケロイドや軽症なら皮膚科で注射や外用治療を行い、手術が必要な場合は形成外科での治療が適しています。

最初から形成外科を受診した方が話が早いケースも多く、特に耳や関節など外科的処置を伴う部位では専門医の判断が重要です。

最近では「ケロイド外来」を設けている病院もありますので、不明な場合は事前に問い合わせてみましょう。

ケロイド体質の見分け方は?

明確な検査はありませんが、過去の傷跡の治り方でおおよそ判断できます。

手術や擦り傷がきれいに治る人はリスクが低く、逆にニキビ跡や虫刺され跡が盛り上がりやすい人はケロイド体質の傾向があると考えられます。

家族に同じ体質の人がいる場合も参考になります。

ただし個人差も大きいため、気になる場合は皮膚科で相談し、自分の体質を把握しておくと安心です。

ケロイド部分の痛みが激しい場合はどうしたらいい?

ケロイドの痛みが我慢できないほど強い場合は、まず医師の診察を最優先してください。

慢性的な軽い痛みなら自宅ケアで様子を見ることもできますが、強い痛みは炎症や神経圧迫など異常のサインです。

応急処置としては、市販の鎮痛薬(イブプロフェン・ロキソプロフェンなど)を服用し、患部を10分ほど冷やすのが効果的です。

冷却により血管が収縮して炎症が和らぎ、痛みやかゆみが一時的に落ち着きます。ただし、温めるのは逆効果なので気をつけてください。

それでも痛みが続く場合は速やかに医療機関を受診しましょう。

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まとめ|ケロイドは放置せず、早めの治療が回復の近道

ケロイドは自然に治ることはなく、放置すれば盛り上がりや痛みが進行し、関節の可動域制限やストレスの原因にもなります。

現在はステロイド注射・圧迫療法・外用薬・手術・放射線・レーザーなど多彩な治療が確立しており、日本皮膚科学会や形成外科学会のガイドラインでも標準治療が示されています。

大切なのは、焦らず治療を継続すること。

専門医の指導のもとでケアを続ければ、赤みや盛り上がりは徐々に落ち着き、再発リスクも減ります。

「痛みがあるけれど迷っている」という方も、まずは医療機関で相談してみましょう。

ケロイドは正しく治療すれば多くのケースで良い方向に進む疾患です。早期の一歩が、痛みのない穏やかな日常への近道となります。

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